薬屋のひとりごとミニアニメ|もぐさとは?お灸に最適な理由も

薬屋のひとりごと もぐさ 東洋医学で深ぼりシリーズ|猫猫の豆知識

お灸の「もぐさ」の原料は、草餅に使う蓬(よもぎ)の葉っぱーーー知っていましたか?

薬屋のひとりごとミニアニメ「猫猫のひとりごと」第40話で、猫猫はこう解説していました。

🍃 猫猫の豆知識:薬屋のひとりごとミニアニメ「猫猫のひとりごと」第40話より 🍃

もぐさの原料は、蓬(よもぎ)の綿毛。葉の裏面にある綿毛は、蓬に精油成分があるためか火付きがいい。熱さが少なく、火持ちもするため、灸に最適。

「灸に最適」と言っていたけど、なぜ?

——そう思った方に向けて、この記事では「もぐさとは何か」から「なぜ灸に向くのか」まで、東洋医学の視点を交えて やさしく解説していきます 🙂

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1. もぐさとは?——原料はよもぎの葉裏の綿毛

もぐさの正体は、ヨモギの葉の裏にある細かな綿毛を集めて精製したもの です。

もぐさは、漢字で書くと 「艾(がい)」

原料となるヨモギは、山野に自生するキク科の多年草植物。春に芽を出し、秋には小さな白い花を咲かせる植物で、私たちにとっても身近な存在です。

薬屋のひとりごとでも、猫猫が外廷の庭で薬草を探している際にヨモギを見つけていますよね。

よもぎの葉

ヨモギの葉裏には、細かい毛茸・腺毛があり、この毛茸・腺毛を集めて乾燥・精製すると「もぐさ(艾)」になります。腺毛には揮発性の精油が含まれていて、これが燃焼時にもぐさ独特の芳香を生み出しています。

ちなみに、よもぎの若葉は草餅に使われることから別名 「餅草(もちぐさ)」 とも呼ばれているそうです。

草餅の原料がお灸の原料にもなる——今度草餅を食べるときに、ふと思い出しそうですね 😀

ヨモギを使った草餅の写真


2. なぜもぐさは灸に最適?——精油と60℃の燃焼

ここからは、なぜもぐさがお灸に最適なのか?猫猫の解説のポイントを見ていきましょう。

  1. 精油成分があるためか火付きがいい
  2. 熱さが少ない
  3. 火持ちする

まずは精油成分について。
ヨモギ類の精油の主成分は、シネオールなどの揮発性成分とされています。
もぐさはこの精油成分が豊富だからこそ、着火しやすいんですね。

そして、純度の高いもぐさは、火をつけても約60℃ほどにしかならず、長時間にわたって低い温度を維持できるとされています。
これは良質なもぐさであればあるほど、このような性質があるとされています。
猫猫の「もぐさは熱さが少なく、火持ちする」という言葉通りですね。

60℃というのは、熱すぎず、かつじんわり深く届く温度。
お灸は「体表面の一定部位にコントロールされた温熱刺激を与える技術」なので、
よもぎはお灸の材料として何千年も選ばれてきたのも納得です!

良質なもぐさ

↑ちなみに、良質なもぐさって、すごくいい香りがするんですよね・・・ 😉

出典:Chemical Composition and Antioxidant Activity of Artemisia argyi Essential Oil and Hydrolate Horticulturae (2023) DOI: 10.3390/horticulturae3030037


3. 東洋医学で見るヨモギ「艾葉」——温める力の正体

生薬として使われるヨモギの葉は 艾葉(がいよう)と呼ばれます。
中薬学としての位置づけを表で整理します。

項目 内容
性味 苦・辛、温(からくて辛く、性質は温かい)
帰経 肝・脾・腎
代表的な効能 温経止血(経脈を温めて血を止める)・散寒止痛(寒を散じて痛みを止める)
用途 冷えを伴う腹部症状、女性の冷えを伴う不正出血などへの処方など

つまり冷えを払って温める方向の生薬。

灸も、生薬も、どちらも「温める」なの?

大ざっぱに言えば 「寒を払って温める」という方向性は共通 しています。ただし内服(処方薬)と灸(体表刺激)では、作用の入り方が違うので「同じ艾でも別モード」と考えると混乱しにくいです。

有名な漢方処方としては、妊娠中の出血や冷えを伴う腹痛などに用いられてきた 「芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)」 に艾葉が含まれています。

お腹が痛む女性


4. もぐさ・ヨモギの豆知識

最後に、記事を読んだあとに「ほほう」となる豆知識をいくつか 😎

名前の語源が「燃える草」だった

「もぐさ」と「ヨモギ」、語源を調べると、

  • もぐさ → 「燃える草」が語源(諸説あり)
  • ヨモギ→ 「よく燃える草」が語源(諸説あり)

どちらも「よく燃える」という性質をそのまま名前にしていたんですね。

「蓬」という漢字、実は平安時代からの誤用

日本では、ヨモギに当てる漢字として 「蓬(ほう)」と「艾(がい)」 の2種類があります。

今回のミニアニメ第40話の猫猫の豆知識でも、「もぐさの原料は、蓬(よもぎ)の綿毛」と表記されていましたよね。

ところが、もともと中国では「ヨモギ」は「艾」や「艾蒿」と書くのが正しく、「蓬」はムカシヨモギ属という別の植物を指していたそうです。

ヨモギを「蓬」と書くのは平安時代からの誤用が日本で定着したものとされているそうです 😯

まとめ:「もぐさとは?」を整理すると

✅ もぐさとは、よもぎの葉裏の綿毛を精製したもの

漢字は「艾(がい)」。草餅のよもぎと同じ植物が原料です。

✅ 灸に最適な理由は精油と約60℃の燃焼温度

猫猫の「火付きがいい・熱さが少なく火持ち」は、灸術に必要な条件をそのまま言い表していました。

✅ 艾葉は東洋医学で「温経止血・散寒止痛」の代表的な中薬

灸(体表から温める)と内服薬(中から温める)、どちらも「冷えを払う」という共通テーマでつながっています。

✅ もぐさ=「燃える草」、よもぎ=「よく燃える草」が語源

名前自体が、灸に向く理由を物語っていましたね。

今回は、猫猫のミニアニメ第40話の豆知識をもとに「もぐさとは何か」「なぜ灸に最適なのか」を整理してみました。『薬屋のひとりごと』の薬草を見るたびに、新しい発見がある——そんな楽しみ方が増えたら嬉しいです 🙂

※本記事は医療行為を目的としたものではなく、一般的な知識の紹介です。


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この記事を書いた人

柚子

国際中医師(国際中医専門員)|漢方薬局勤務経験あり

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『薬屋のひとりごと』の作品情報のほか、作品中の生薬・漢方をやさしく解説していきたいと思っています。

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