薬屋のひとりごとミニアニメ|冬虫夏草とは?猫猫の豆知識を深堀

薬屋のひとりごと 冬虫夏草 東洋医学で深ぼりシリーズ|猫猫の豆知識

薬屋のひとりごとミニアニメ「猫猫のひとりごと」第12話で登場する【冬虫夏草】

本編アニメでは、壬氏さまから渡された冬虫夏草を見て、猫猫は目をキラキラさせてましたね 🙂

薬屋のひとりごとミニアニメでは、猫猫はこう解説していました。

🍃 猫猫の豆知識:ミニアニメ「猫猫のひとりごと」第12話 冬虫夏草編より 🍃

これはキノコの一種で、寄生した虫の栄養分で成長する。漢方として重宝されており、不老長寿、強壮の秘薬として、非常に希少性が高い。

冬は虫で、夏になるとキノコが生える ——冬虫夏草はとても不思議な生薬。

実はこの冬虫夏草、東洋医学では「陰陽の両方を持つ特別な存在」として珍重されてきたんです。

そして今回のミニアニメでもう一つ気になるのが、高順が 「壬氏さまもこの冬虫夏草そっくりだった」 と言っていたこと。その真意とは・・・!?

この記事では、猫猫の「冬虫夏草」についての解説を 東洋医学の視点 で深掘りしつつ、 壬氏と冬虫夏草の意外な共通点 についても考察していきます。
読み終わる頃には、『薬屋のひとりごと』がもっと楽しくなるはず… 🙂!?

記事中には冬虫夏草の写真が含まれます。苦手な方はご注意ください。また、考察はネタバレを含みます。

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1. 【薬屋のひとりごと】冬虫夏草って何?虫なの?キノコなの?

🍃 薬屋のひとりごとミニアニメ「猫猫のひとりごと」第12話 冬虫夏草編より 🍃
壬氏「虫をもらってそんなに喜ぶとはな…」
猫猫「虫ではありません!キノコです!冬は虫だったのに、夏になると草のようなキノコが生えることからこの名前になったと言われ…」
壬氏「分かった、分かったから!」

冬虫夏草を手にして大喜びする猫猫に、壬氏が「虫をもらって喜ぶとは…」とあきれた表情。でも猫猫は負けていません。 「虫ではありません!キノコです!」 と力説していました 😀

1-1. 冬虫夏草の正体

冬虫夏草は、 コウモリガ科の蛾の幼虫に寄生したキノコ(冬虫夏草菌) です。

冬の間に幼虫の体内で栄養分を吸収しながら成長し、やがて夏になると幼虫の頭部からニョキッと棒状のキノコが生えてきます。

季節 何が起きる?
冬虫夏草菌がコウモリガの幼虫に寄生し、養分を吸収
幼虫はミイラ化し、菌糸体が体内を満たす
幼虫の頭部から棒状のキノコ(子実体)が伸びる

冬は虫の姿に見え、夏は草(キノコ)の姿に見える ことから「冬虫夏草」と名付けられたんですね。

猫猫が「虫ではありません!キノコです!」と力説していたのは、まさに分類学上の事実を正確に伝えたかったのでしょう。さすが猫猫です 🙂

1-2. 希少性の高さ

冬虫夏草は 世界で390種以上 が報告されていますが、漢方薬として使用されるのは フユムシナツクサタケ(Cordyceps sinensis) という特定の種だけ。中国の高原地帯やチベットで採取される非常に希少なもので、なかでも四川省産が最高品とされています。

猫猫が「非常に希少性が高い」と言っていた通り、古くから 高麗人参と並ぶ最高級の薬膳素材 として王侯貴族に珍重されてきました。冬虫夏草の写真がこちらです↓

冬虫夏草の写真


2. 東洋医学が教える冬虫夏草の秘密

不思議に思う女性

冬虫夏草が不老長寿の秘薬って本当なの?

なぜそんなに珍重されてきたのかしら?

その答えは、東洋医学の 「陰陽」の哲学 にあります。

2-1. 陰と陽の両方を持つ唯一無二の存在

東洋医学の根底には、 大宇宙の自然と小宇宙の人体は一体 であり、 自然の法則は人の体にも通じるという哲学があります。

出典:イラスト図解 東洋医学の仕組み, 関口善太 監修, 日本実業出版社(2003)

東洋医学の基本となる 易の思想 では、万物は 陰と陽 に分けられます。

陰陽の太極図のイラスト

区分 陰(いん) 陽(よう)
季節
生き物 植物(草) 動物(虫)

ここで冬虫夏草を見てみましょう。 冬は虫(陽)であり、夏は草(陰)になる ——陰陽の両方を備えた存在なのです。

中国では古来より、 陰陽の両方の要素をあわせ持つものは、身体のバランスを整える最高の薬 と考えられてきました。だからこそ冬虫夏草は、不老長寿・強壮の秘薬として宮廷料理にまで使われるほど珍重されてきたのです。

これ、すごく東洋医学らしい発想ですよね 😀

2-2. 腎と肺を補う「補陽薬」

中薬学(中国の薬学)では、冬虫夏草は 「補陽薬(ほようやく)」 に分類されています。

不思議に思う女性

「補陽薬」って何?

簡単に言うと、 体を温めて、元気をつける薬 のことです。

項目 内容
性味 甘・温
帰経 腎・肺
効能 益腎補肺(腎と肺を補う)・止血化痰(出血を止め痰を除く)
用法 鶏・鴨・豚肉などと煮込んで食すなど

冬虫夏草は 腎(じん=生命力の源)肺(はい=呼吸の力) を補うとされ、病後の体力回復や慢性的な咳、腰や膝のだるさなどに用いられてきました。

伝統的な食べ方は、鶏肉や豚肉と一緒に煮込む方法。薬膳料理として栄養を丸ごといただく知恵ですね。

薬膳鍋のイラスト

現代の研究でも、冬虫夏草の培養菌糸体エキスを飲用した長距離陸上選手に運動機能の向上が認められたり、免疫力を高める働きが報告されるなど、古来からの評価を裏付ける結果が出ています。

🍃猫猫が冬虫夏草を手にして小躍りしていたのも納得です笑。

こうした 陰陽の哲学と確かな薬効を持つ希少な生薬 ですから、薬師としてはたまらないでしょうね。


3. 【考察】壬氏は冬虫夏草そっくり?高順の言葉の真意

ここからは、ミニアニメで気になったシーンを深掘りしてみたいと思います。

3-1. 高順が壬氏を冬虫夏草に例えた

ミニアニメ第12話では、冬虫夏草を眺めながら猫猫がこんなことを心の中でつぶやいていました。

猫猫の心の声:高順さまの話によると、数日前まで壬氏さまもこの冬虫夏草そっくりだったとか。以前と変わらない、むしろさらに…

不思議に思う女性

壬氏がキノコにそっくり? あの麗しい壬氏さまが?

一体どういうことなのか——その答えは原作にありました。

3-2. なぜ壬氏は「キノコ化」したのか?

このミニアニメ12話の背景を少しだけ振り返ってみましょう。(ネタバレあり)

ミニアニメ12話は、おそらく原作第一巻31話「解雇」の頃にあたると思われます。その頃、後宮では 風明の事件 が起きていました。この事件の影響で、風明の実家と関係があった後宮の女官たちは後宮から去ることになります。

猫猫も書類上の実家は交易を行っており、この 関係者名簿に含まれていました

このことを知り、壬氏は悩みます。高順に「隠蔽しますか?」と聞かれた壬氏でしたが、それも気が進まない。

壬氏は直接猫猫に「どうしたい?」と聞くことになりますが、 猫猫は「解雇にしないで」という気持ちをうまく伝えることができず 、猫猫は後宮を去ることになったのです。

そして、高順はその後の壬氏の様子を見て、心の中でこのようにつぶやきます↓

仕事には今のところ支障はないが、自室に戻ると部屋の隅に座り込み、陰気な空気を醸し出すのは勘弁願いたい。
胞子でも飛ばさんばかりの勢いである。
麗しき天女の笑みと蜂蜜の声を持つ青年はそこにはいない。
(出典:原作第一巻 31話 解雇より)

「胞子でも飛ばさんばかり」 ——高順は、暗い部屋の隅で陰気なオーラを放つ壬氏を、まさにキノコに例えていたのです。

猫猫を引き留められなかった壬氏の落ち込みようは、側で見ている高順が「勘弁願いたい」とため息をつくほど。「麗しき天女の笑みと蜂蜜の声を持つ青年はそこにはいない」という描写が、変わり果てた壬氏の姿を物語っています。

3-3. 壬氏と冬虫夏草の3つの共通点

高順が壬氏を冬虫夏草に重ねた理由を、私なりに深掘りしてみました。

冬虫夏草 壬氏
暗い場所で虫に寄生し、胞子を飛ばすキノコ 暗い部屋の隅で「胞子でも飛ばさんばかり」の陰気さ
冬は虫(陽)、夏は草(陰)と 姿が変わる 猫猫がいた頃の麗しい壬氏(陽)→ 猫猫が去った後の陰気な壬氏(陰)と様子が変わる
不老長寿の秘薬として 希少で貴重 「麗しき天女の笑みと蜂蜜の声」を持つ 希少な美貌の持ち主

特に面白いのが、 壬氏の変化と冬虫夏草の陰陽が重なる ところです。

冬虫夏草が 「虫(陽)と草(陰)」の間で姿を変える存在 であるように、壬氏もまた 猫猫がいた頃の「天女のような麗しさ(陽)」 から、猫猫が去った後の 「胞子を飛ばすキノコのような陰気さ(陰)」 へと姿を変えてしまった——。

つまり、壬氏にとって 猫猫の存在が「陽」と「陰」を分ける境目 だったとも言えるのではないでしょうか。

その冬虫夏草を眺めながら「以前と変わらない、むしろさらに…」とつぶやく猫猫の心の声。

高順には「冬虫夏草そっくりの陰気なキノコ」に見えていた壬氏が、猫猫の目には まったく別の姿 に映っていた——というのも、二人の関係性が感じられて興味深いですよね 😀

🍃胞子でも飛ばさんばかりの壬氏さまを冬虫夏草に例えるとは・・・高順さまの観察眼もなかなかのものです。

キノコ化してしまった壬氏でしたが…とうとう猫猫を連れ戻しに花街に来た際、持参していたのが「冬虫夏草」なんです↓

冬虫夏草にテンションが上がる猫猫…やはり効果テキメンですね 😎


4. まとめ:【薬屋のひとりごと】から冬虫夏草の不思議を楽しもう

最後に、薬屋のひとりごとミニアニメ「猫猫のひとりごと」【冬虫夏草】から学べる知識をまとめます。

4-1. 猫猫の解説から学べること

✅ 冬虫夏草はキノコの仲間

猫猫が力説した通り、冬虫夏草は分類学上はキノコ(菌類)です。コウモリガの幼虫に寄生し、夏にキノコが生えることからこの名がつきました。

✅ 陰陽の両方を持つから「不老長寿の秘薬」とされた

東洋医学の陰陽思想では、虫(陽)と草(陰)の両面を持つ冬虫夏草は、身体のバランスを整え、不老長寿の秘薬と考えられてきました。

✅ 壬氏と冬虫夏草の共通点は「陰陽の変化」

二面性 冬虫夏草 壬氏
陽の面 動物(虫)の姿 猫猫がいた頃の麗しい姿
陰の面 植物(草・キノコ)の姿 猫猫が去った後の陰気な姿

4-2. 『薬屋のひとりごと』をもっと楽しむために

今回は、 猫猫が解説してくれた【冬虫夏草】の豆知識を、東洋医学の視点からやさしく深掘り してみました。さらに、 高順が壬氏を冬虫夏草に例えた理由 を原作と照らし合わせて考察してみました。

『薬屋のひとりごと』の魅力の一つは、猫猫の知識がリアルで奥深いところ。

「この生薬は何に効くんだろう?」「この場面にはどんな意味があるんだろう?」 そんな視点で作品を見ると、猫猫の世界がもっと身近に感じられるかもしれませんね。

こうした豆知識を深めながら「薬屋のひとりごと」の世界を一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです 🙂

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▶ 薬屋のひとりごと何から始める?小説・アニメ・漫画入門ガイド

※本記事は医療行為を目的としたものではなく、一般的な知識の紹介です。


参照リンク一覧


この記事を書いた人

柚子

国際中医師(国際中医専門員)|漢方薬局勤務経験あり

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『薬屋のひとりごと』の作品情報のほか、作品中の生薬・漢方をやさしく解説していきたいと思っています。

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