【保存版】薬屋のひとりごと薬草・生薬一覧|東洋医学で解説

薬屋のひとりごと 薬草 一覧 東洋医学で深ぼりシリーズ|猫猫の豆知識

『薬屋のひとりごと』を見ていると、「あの薬草って何?」「あの毒はどんな植物なの?」と気になることがありませんか?

かつての私も同じでした。作中の薬草をさっと調べたくても、まとまった情報がなかったり、専門書を出すのが億劫になったり……。

そこでこの記事では、アニメ・ミニアニメに登場した主な薬草・生薬を一覧でまとめました(現時点で20種以上、今後も随時追加予定)。

国際中医師の資格を持ちながら、今は作品を通して中医学を学び直している私が、ひとつひとつをやさしく解説していきます。「専門家が教える」というより、「一緒に深掘りしていく」感覚でお読みいただけたら嬉しいです。

一部ネタバレを含みますのでご注意を 😎
それぞれの薬草・生薬の詳しい解説は、記事末尾の東洋医学で深掘りシリーズへのリンクからどうぞ🍃

生薬と漢方と薬屋のイラスト

*本記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれる場合があります。

【保存版】登場する薬草・生薬 一覧表

まずは全体を俯瞰できるよう、一覧でまとめました。
「☠️猛毒」が8種類もあるのがびっくりですね!!!

薬草・生薬名 話数 種類 毒性 東洋医学でのひと言
白粉(おしろい)の鉛白(エンパク) ミニアニメ1話 💎鉱物 ☠️猛毒 収れん・解毒の外用薬。慢性接触で鉛中毒に
芙蓉(フヨウ) ミニアニメ3話 🌿植物 ✅安全 清熱・解毒・消腫。花・葉・根で効能が異なる
生姜(ショウガ) ミニアニメ5話 🌿植物 ✅安全 胃腸を温め、風邪を追い払う「日常の生薬」
蜜柑(みかん)/ 陳皮(チンピ) ミニアニメ5話 🌿植物 ✅安全 気の巡りを整え、胃腸の働きを助ける
蜂蜜(はちみつ) 本編1期10話 🐾動物 ⚠️注意 肺を潤し咳を止める。乳幼児はボツリヌス症に注意
鈴蘭(スズラン) 本編1期9話 🌿植物 ☠️猛毒 強心配糖体(コンバラトキシン)を含む猛毒草
南天(ナンテン) ミニアニメ9話 🌿植物 ⚠️注意 全草に毒あり。実は咳止め生薬に活用される
鳥兜(トリカブト)/ 附子(ブシ) ミニアニメ10話 🌿植物 ☠️猛毒 炮製加工で、冷えた体を温める最強の補薬「附子」に
蓮華躑躅(レンゲツツジ) ミニアニメ11話 🌿植物 ☠️猛毒 グラヤノトキシン含む。花蜜も「狂蜜」と呼ばれ危険
冬虫夏草(トウチュウカソウ) ミニアニメ12話 🍄菌類 ✅安全 幼虫に寄生するキノコ。不老長寿・強壮の希少な秘薬
海藻(カイソウ) ミニアニメ15話 🌿植物 ⚠️注意 ヨウ素豊富で甲状腺の腫れを鎮める。オゴノリは生食不可
牛黄(ゴオウ) ミニアニメ19話 🐾動物 ✅安全 牛の胆石。高熱・意識混濁・痙攣を鎮める高級生薬
梅(烏梅 / ウバイ) ミニアニメ21話 🌿植物 ✅安全 燻蒸加工した梅の未熟実。渇き・咳・下痢・駆虫に用いる
鳳仙花(ホウセンカ) ミニアニメ23話 🌿植物 ✅安全 伝統的な爪染めに使われてきた植物
片喰(カタバミ) ミニアニメ23話 🌿植物 ⚠️注意 シュウ酸を含む。染色の色止め補助として使用
曼荼羅華(チョウセンアサガオ) ミニアニメ26話 🌿植物 ☠️猛毒 全草猛毒だが、麻酔薬の主成分として外科に活用
熊胆(ユウタン) ミニアニメ28話 🐾動物 ✅安全 熊の胆嚢。高熱・痙攣・目の充血を鎮める
雄黄(ゆうおう) ミニアニメ33話 💎鉱物 ☠️猛毒 硫化ヒ素の鉱物薬。解毒・殺虫。現代では使用制限
スッポン ミニアニメ35話 🐾動物 ✅安全 滋陰・補血・強壮。慢性疲労や更年期のほてりにも
もぐさ(艾 / ヨモギ) ミニアニメ40話 🌿植物 ✅安全 お灸の材料。温経散寒(経絡を温める)・止血の効能

猛毒の薬草がたくさん登場するのは、「薬と毒は紙一重」という作品のテーマそのものです。

正しく使えば薬、使い方次第では毒になる——猫猫がそれをよく知っているからこそ、あの目が光るんですよね 😀


🍃薬草・生薬とは?

それぞれの薬草の解説をする前に、少し言葉の意味を整理したいと思います。

薬草とは、体にとって何らかの良い作用があり、薬として利用できる植物のことです。

生薬というのは漢方薬に使われる材料のことで、薬草などの植物をはじめ、動物、鉱物なども入ります。

💀毒性って?

生薬が体に対して与える損害を「毒性」と呼びます。

毒性反応は副作用とは異なり、人体に対する危害性は極めて高く、ひどい場合は命を脅かすことになります。

薬草は部位別に効能が違うの?

葉・茎・根・種など、薬草は部位によって効能がまったく異なります

これは現代の成分分析でも科学的に証明されている事実で、東洋医学では「取象比類(自然の形と作用を対応させる)」という考え方や理解されてきました。

→ ミニアニメ第18話「薬草」にこの内容が登場します。

🔗 詳しく知りたい方はこちら: 薬屋のひとりごと|薬草の部位で効能が変わる?猫猫の解説をやさしく深掘り


各薬草・生薬の解説

ここからは作中に登場するそれぞれの薬草・生薬について解説していきます。

🌿 白粉(おしろい)|鉛白(えんぱく)

作中で皇子たちの衰弱の原因となった白粉。主成分は鉛白(塩基性炭酸鉛)です。

「鉛白」は東洋医学では外用の収れん(引き締める作用)・解毒・生肌(傷口の修復促進など)の薬として使われてきました。しかし鉛は体内に蓄積しやすく、長期・慢性的な接触によって中毒症状(腹痛・貧血・神経症状など)を引き起こします。

皇子たちが徐々に衰弱していったのは、この慢性鉛中毒によるものです。

🌸 芙蓉(フヨウ)

フヨウはアオイ科の植物でとても美しい花を咲かせますが、中国では古くから生薬として使われてきました。
花・葉・根のいずれも薬用に使われますが、部位によって効能が異なります。

例えば、葉は外用薬としてできものや打撲に用いられますが、花は熱を冷ます力が強く、風邪で赤く腫れた喉や炎症に内服で用いられています。

🫚 生姜(ショウガ)と蜜柑(陳皮/チンピ)

生姜と蜜柑の皮(陳皮/チンピ)は、東洋医学の「日常薬」の代表格です。

  • 生姜:生姜は胃腸を温め、風邪を追い払います。干した生姜は「乾姜(カンキョウ)」と呼ばれ、よく使われる生薬です。乾姜は体を内側から温める力が強くなります。
  • 陳皮:気の巡りを整えて胃腸の働きを助けます。

ふたつを組み合わせた飴は、消化不良や寒さによる風邪の初期に最適ですね。

🍯 蜂蜜

蜂蜜は肺を潤し咳を止めたり、胃腸を整え丈夫にしたり…と、さまざまな体によい働きがある代表的な薬材です。

しかし、作中の事件の鍵となったのは乳児ボツリヌス症でした。
蜂蜜にはボツリヌス菌の芽胞が混入していることがあり、免疫の未熟な乳幼児が摂取すると、腸内で毒素が産生され、元気がなくなってミルクが飲めなくなったり、重症化して亡くなることもあります。

薬と毒は表裏一体」という作品のテーマを象徴するエピソードです。

☠️ 鈴蘭(スズラン)

見た目の愛らしさに反して、鈴蘭は植物全体にコンバラトキシン(強心配糖体) という毒を持ちます。
少量でも心拍異常・嘔吐・最悪の場合は心停止を引き起こします。

花を飾った水を飲むだけでも危険とされており、猫猫の目が光るのも当然です。

鈴蘭の写真

🍃 南天(ナンテン)

「難を転じる」縁起物として知られる南天ですが、実は立派な生薬でもあります。

南天の実を乾燥させた南天実(ナンテンジツ)は、咳を鎮め、痰を出しやすくする生薬として古くから使われてきました。
のど飴の原料にもなっていますよね。

そんな南天ですが、植物全体に毒があり、神経系に作用し麻痺を起こします。
南天実(ナンテンジツ)は麻痺を起こす成分を逆手にとって、活用されている生薬です。

⚠️ 鳥兜(トリカブト)/ 附子(ブシ)

トリカブトは「世界三大毒草」のひとつ。アコニチンという猛毒を含み、少量でも心臓・神経に影響を与えます。

しかし東洋医学では、正しく炮製(加工処理)したトリカブトの根を「附子」と呼び、冷えて弱り切った体を強く温め回復させる特効薬として今でも使われています。

猛毒が薬になるという面白い生薬ですが、きちんと加工されたものを専門家の管理のもとで使う必要があります。

☠️ 蓮華躑躅(レンゲツツジ)

ツツジ科の美しい花ですが、植物全体にグラヤノトキシンを含む毒草です。この毒は神経や心臓に作用します。

花の蜜も危険で、蜜蜂がこの蜜を集めた「狂蜜」は古代から毒として知られていました。
子供が誤って花の蜜を吸ってしまうこともあるので、注意が必要です。

🍄 冬虫夏草

「冬は虫で、夏はキノコになる」と言われる不思議な生薬で、正体はコウモリガ科の蛾の幼虫に寄生したキノコ(冬虫夏草菌) です。

とても希少性が高く、不老長寿、強壮の秘薬として、東洋医学では重宝されてきました。
現代では菌糸体の人工培養品が流通しており、サプリメントとして入手しやすくなっています。

ミニアニメでは高順が「壬氏さまが冬虫夏草とそっくりだった」と猫猫に話しますが、その真意については深掘り記事で詳しく考察しています。ぜひお楽しみくださいね。

冬虫夏草のイラスト

🔗 詳しくはこちらの記事へ:ミニアニメ第12話「冬虫夏草」の深堀シリーズはこちら

🌊 海藻(昆布など)

海藻類はヨウ素を豊富に含み、東洋医学では「甲状腺の腫れを鎮める」の薬として古くから使われてきました。
現代医学の甲状腺ホルモンとヨウ素の関係が解明されるはるか前から、経験的にその効果が知られていたんですね。

ちなみに、オゴノリという海藻をご存じですか?
刺身のツマとしてよく見かける、細くて少し歯ごたえのある赤紫や緑色の海藻です。

オゴノリ付きの刺身
実は、オゴノリを生のままで食べると、激しい食中毒を引き起こしてしまい、最悪死亡するケースも…!!
オゴノリは食中毒を起こさないように、あらかじめ石灰水で処理をする必要があります。

💛 牛黄(ゴオウ)

牛の胆嚢(たんのう)の中にできる胆石(結石)を乾燥させた生薬です。
非常に希少で、古くから不老長寿に良いとされていたので、高価で取引されてきました。
猫猫も牛黄を手に入れたとき、目をキラキラさせながら喜んでいましたよね。

東洋医学では高熱・意識混濁・痙攣を鎮める効能を持つといわれています。
現代の漢方薬(救心、牛黄清心丸など)にも使われています。

🌙 梅(烏梅)

梅の未熟実を燻蒸した「烏梅(うばい)」は、東洋医学の重要な生薬です。
燻蒸のため黒く、強い酸味を持ちます。

生津止渇(渇きを止める)・収渋(引き締める)・駆虫の効能を持ち、慢性の咳や慢性下痢などにも用いられます。

梅干しの酸っぱさで「唾液が出る」のは、まさに「生津」の働きそのもの。日常の食材が立派な薬になる好例です。

💅 鳳仙花(ホウセンカ)と片喰(カタバミ)

このふたつは染色の材料として登場します。

  • 鳳仙花:爪を赤く染める植物。伝統的な爪染めは、鳳仙花の花びらをすり潰し、ミョウバンを混ぜて爪に塗り、葉で指を包んで一晩置きます。作中では、鳳仙の名前の由来としても登場します。
  • 片喰(カタバミ):シュウ酸を豊富に含む植物。鳳仙花で爪を染める際、色が定着しやすいように片喰の葉(酸味のある成分)を混ぜる</strong&gt;という手法があります。作中では、羅漢の一族(羅一族)の家紋としても登場します。

⚗️ 曼荼羅華(チョウセンアサガオ)

ヒルガオ科のアサガオとは異なり、チョウセンアサガオはナス科の植物。

痛み止めや意識を失わせる効果があり、麻酔薬として用いられてきた生薬です。
日本の歴史においても、世界初の全身麻酔手術を成功させた華岡青洲の「通仙散」の主成分として有名です。

曼荼羅華(チョウセンアサガオ)は外科処置に用いられてきた一方で、全草が猛毒である非常に危険な植物でもあります。

猫猫が「薬と毒は紙一重」と語りますが、まさにその通りですね・・・💊💀

🐻 熊胆(ユウタン・クマノイ)

熊の胆汁が入った胆嚢を乾燥させた生薬。
東洋医学では高熱や痙攣を鎮めたり、目が充血し眩しくなる症状などに用いられる生薬です。

日本では古くから「万能胃腸薬」として親しまれ、「熊の胆(くまのい)」と呼ばれていました。
主成分であるUDCA(ウルソデオキシコール酸) は、脂肪の消化を助ける力が非常に強力です。
そのため、胃もたれや、胸やけなどによく用いられてきたのです。

現在は、保護の観点からワシントン条約により使用が制限されていますが、古くは最上級の生薬のひとつとして珍重されました。

🔴 雄黄(ゆうおう)

鶏冠石とも呼ばれる硫化ヒ素の鉱物薬です。
東洋医学では「解毒・殺虫」の効果があり、殺虫できることから防腐作用も持ちます。

主に腫れものに対し外用薬として用いられていましたが、毒性の強いヒ素を含み、現代では使用が厳しく制限されています。

猫猫の時代ならではの「危険と隣り合わせの薬」といえます。

🐢スッポン

すっぽんは「歩く漢方」とも呼ばれ、東洋医学では滋養強壮によい薬材として、古くから重宝されてきました。
現代でも、スッポンはコラーゲンやアミノ酸たっぷりの美肌食材として、お鍋にしたりして食べられています。

スッポンの甲羅を乾燥させた生薬は、「鼈甲(べっこう)」と呼ばれています。
滋陰退熱」(陰を補い慢性的なほてりを冷ます)の効能があるため、更年期のほてりなどに用いられています。

🌿 もぐさ(艾・ヨモギ)

乾燥させたヨモギの葉を細かく砕き、葉の裏にある細かい「絨毛(じゅうもう)」だけを取り出したものが「もぐさ」です。

もぐさはお灸の材料として、現代でも鍼灸治療に広く使われています。

東洋医学では、乾燥させたヨモギは「艾葉(がいよう)」と呼ばれ、「温経散寒(経絡を温め寒を散らす)・止血」の効能がある生薬です。

よもぎのイラスト

まとめ:薬草・生薬が語る「薬屋のひとりごと」の世界

今回は『薬屋のひとりごと』のアニメ・ミニアニメに登場した薬草・生薬をまとめました。

毒にも薬にもなる植物、高価な動物性生薬、鉱物薬まで——猫猫の知識の幅広さが改めてよくわかりますね!

今後の展開に合わせて、少しずつ薬草・生薬は増やしていく予定です。どうぞお楽しみに 😀

※本記事は医療行為を目的としたものではなく、一般的な知識の紹介です。

🍃 東洋医学で深掘りシリーズ|気になった生薬から読んでみてください

このブログでは、ミニアニメに取り上げられたで薬草・生薬などを、ミニアニメの内容とあわせて詳しく解説しています。

一覧の薬草や生薬の中で気になったものがあれば、ぜひ下の東洋医学で深ぼりシリーズをお楽しみくださいね🍃

薬草・生薬編

ミニアニメ 記事
第12話「冬虫夏草」 冬虫夏草と壬氏の意外な共通点?を深堀り
第18話「薬草」 薬草の部位で効能が変わる?猫猫の解説をやさしく深掘り

番外編(東洋医学視点の豆知識)

ミニアニメ 記事
第6話「食べられないもの」 鮮度の落ちた魚で蕁麻疹?を深堀り
第25話「三毛猫」 三毛猫が縁起がいい?を深堀り
🍃 シリーズは随時追加予定です。ブックマークしておくと便利ですよ!

参照リンク一覧

  • 中薬学 改訂 第6版, 董巍 監修, 中医学アカデミー(2019)
  • 食養生の知恵 薬膳食典 食物性味表(第二版), 日本中医食用学会発行(2021)
  • イラスト図解 東洋医学の仕組み, 関口善太 監修, 日本実業出版社(2003)
  • 東方栄養新書, 梁晨千鶴 著,メディカルユーコン(2005)
  • 中医基本用語辞典,高金亮 監修,東洋学術出版社(2015)

この記事を書いた人

柚子

国際中医師(国際中医専門員)|漢方薬局勤務経験あり

プロフィール画像

『薬屋のひとりごと』の作品情報のほか、作品中の生薬・漢方をやさしく解説していきたいと思っています。

プロフィールはこちら

タイトルとURLをコピーしました