薬屋のひとりごとミニアニメ|薬草の部位で効能が違う?を深堀り

薬屋のひとりごと 薬草 東洋医学で深ぼりシリーズ|猫猫の豆知識

同じ植物なのに、葉と根では薬の効き目が違う——そんな不思議を聞いたことはありますか?

薬屋のひとりごとミニアニメ「猫猫のひとりごと」第18話【薬草編】で、猫猫はこう解説していました。

🍃猫猫の豆知識:ミニアニメ「猫猫のひとりごと」第18話 薬草編より🍃

薬草は実や花、葉や茎皮、根など、種類によって活用できる部位が違う。育てる際には、特性に合った環境を整えることが重要だ。また薬草の中には野菜と一緒に植えると、虫よけや野菜の病気予防の効果をもつものもあるとか。

実はこの「部位によって効能が違う」という知識、現代科学でも証明されている事実なんです。

そして「野菜と一緒に植えると虫よけになる」という栽培の知恵も、現代ではコンパニオンプランツとして知られる農業技術と一致しています。

この記事では、猫猫の解説を東洋医学の視点も加えてやさしく深掘りしていきます。読み終わる頃には、『薬屋のひとりごと』がもっと楽しくなるはず… 🙂

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1. 薬草の部位で効能が変わる?その科学的な理由

🍃猫猫の豆知識:ミニアニメ「猫猫のひとりごと」第18話 薬草編より🍃
薬草は実や花、葉や茎皮、根など、種類によって活用できる部位が違う。
育てる際には、特性に合った環境を整えることが重要だ。
また薬草の中には野菜と一緒に植えると、虫よけや野菜の病気予防の効果をもつものもあるとか。

ミニアニメで猫猫は「薬草は実や花、葉や茎皮、根など種類によって活用できる部位が違う」と解説していました。

実はこれ、東洋医学の重要な考え方なんです。

1-1. 現代科学で証明された「薬草の部位による成分の違い」

「部位で効能が違う」というのは、現代の成分分析でも科学的に証明されています。

例えば、身近な シソ(紫蘇) について、2023年に発表された中国の研究論文では、シソ全体から350種類以上の化合物 が報告されています。

そして重要なのは、部位によって含まれる成分の種類と量が異なる という点です。

部位 主な成分 中薬名
シソの葉 揮発性精油、フラボノイド 紫蘇葉(しそよう)
シソの茎 フェノール酸、トリテルペン 紫蘇梗(しそこう)
シソの種 脂肪酸、ステロール 紫蘇子(しそし)

上の表のように、部位によって成分が異なるため、中国薬典ではシソの葉・シソの茎・シソの種にそれぞれ中薬名をつけて「別の生薬」として分類 しています。

出典:Zhang LQ et al. Comparison of active components in different parts of Perilla frutescens and its pharmacological effects 中国中药杂志 (2023) PMID: 38212016

1-2. 東洋医学では昔から知られていた

現代科学で証明される はるか昔から、東洋医学ではこのことが経験的に知られていました。

中薬学(中国の薬学)では、植物の各部位は生長・発育の時期によって有効成分の含有量が異なる とされています。

現代科学で「成分が違うから効能が違う」と証明されたことを、東洋医学では三千年以上前から経験的に知っていたのですね。驚きです!

 

不思議に思う女性

でも、先人たちはどのようにして膨大にある薬草の効能を調べたのかしら?

中国奥地の薬草採りの名人は、野生のサルを日頃からよく観察していたと聞いたことがあります。サルがどんな状態のときに、どんな植物を食べていたのかを観察し、新たな薬草発見のヒントにしたのでしょうね。

でも膨大にある薬草を、しかも部位ごとに、効能を発見していくのは途方もない作業… 😥

そこで、効能を知る手がかりのようなものが活用されてきたのです。

効能を知るための手がかりはいくつかあるのですが、その1つに「薬草の色や形などを人体に当てはめて効能を想像する」という方法があります。

1-3. 「大宇宙」と「小宇宙」をつなぐ東洋医学の哲学

東洋医学には、とても興味深い哲学があります。

東洋医学の根底には、大宇宙の自然と小宇宙の人体は一体であり、自然の法則は人の体にも通じるという哲学があります。
この考えを広げると、例えば植物などにも同じ法則が通じるものがあるということになります。

出典:イラスト図解 東洋医学の仕組み, 関口善太 監修, 日本実業出版社(2003)

つまり、「自然界(大宇宙)」と「人体(小宇宙)」は同じ法則で動いている という考え方です。

薬草の色・形・味・香りなどを、この哲学に基づいて、類似性のある人体の部分に当てはめて効能を想像していった のが東洋医学の特徴なんです 😯

1-4. 薬草の「形が似ているから効く」という発想

面白い例を一つ紹介しましょう。

牛膝(ゴシツ) という生薬があります。これは植物の茎の節が 牛の膝 に似ていることから名付けられました。

そして実際に、膝の関節の痛みに薬として用いられています。

牛膝という生薬の写真

もちろん、色や形が似ていればすべて薬草として使えるということではありません。
そういう自然の状態をヒントにして実際に使用した結果、本当に効果のあったものだけを残してきたということなのです。

自然界からヒントを得て、実際に試し、効果があったものだけが残されたのです。三千年以上の歴史の中で積み重ねられた知恵なんですね。

1-5. 薬草と人体の部位ごとの特徴【一覧表】

「自然界(大宇宙)」と「人体(小宇宙)」は同じ法則??

 なかなかピンとこないな…

たしかに、ちょっと想像しにくいですよね。

それでは、この「大宇宙と小宇宙」の哲学に基づいて、植物の部位が人間の体のどの部位に当てはまるのか(作用するのか)を具体的に理してみたいと思います。

部位 考え方 作用する場所
葉・小枝 植物の外側→体の外側 体表(皮膚・表面)
太い茎・幹 植物の中心→体の中心 体幹(内部)
植物の根本→体の根本 体の深い部分(腎・血)
種(タネ) 種は落ちる→便も落ちる 腸(便通)

「葉は体の表面」「根は体の深い部分」 というように、植物の構造と人体の構造を重ね合わせて考えるのが東洋医学の特徴です。

🍃猫猫が薬草に詳しいのも、こうした 自然界と人体のつながり を深く理解しているからなのかもしれませんね。


2. 【具体例】シソ(紫蘇)で見る部位ごとの使い分け

植物の部位が人間の体のどの部位に当てはまるのか、何となくイメージはつかめたでしょうか?

ここからは、先ほどの「シソ(紫蘇) を例に、具体的に使い分けをみていきましょう。

2-1. シソの葉は「風邪薬」になる

シソの葉は、私たちが料理でよく使うあの部分です。

紫蘇の写真

東洋医学では、シソの葉は体の浅い部分(体表)に作用し、風邪薬のような働きをもつと考えられています。

食用にも使える葉の部分は比較的作用がマイルドで、初期の風邪や発汗を促したいときに使われることもあります。

2-2. シソの茎は「体の内部」に効く

一方、シソの太い茎の部分は、体の内部(体幹)に対する作用が強くなり、お腹の張りなどに用いられています。

同じシソでも、葉と茎では作用する場所が違うんですね。

2-3. シソの種は「便通」を良くする

面白いのが 種(タネ) の効能です。

紫蘇子(シソシ) と呼ばれるシソのタネは、「痰をとって咳を止める薬」として使われますが、便秘の改善にも役立ちます。

タネについては、ほとんどの薬草に共通して、便通を良くする働きがあります。種は、実から地面に落ちて次の世代に繋ぐものですから、「落ちる」という意味で便通へと発想がつながるのです。 出典:イラスト図解 東洋医学の仕組み, 関口善太 監修, 日本実業出版社(2003)

「種は地面に落ちる」→「便も下に落ちる」という自然の法則を人体に当てはめているんです!

これ、すごく東洋医学らしい発想ですよね 😀 


3. 薬草で野菜を守る栽培術って?

ミニアニメでは「薬草の中には野菜と一緒に植えると虫よけや野菜の病気予防の効果をもつものもある」と紹介されていました。

これは現代で言う「コンパニオンプランツ(共栄植物)」 と呼ばれる農業・園芸の技術です。

薬草を育てるイラスト

3-1. コンパニオンプランツとは?

コンパニオンプランツとは、異なる植物を一緒に植えることで、病害虫の抑制や生育促進などの相乗効果を得る 方法です。

実は、中薬(中国の薬草)として知られる植物の中にも、畑で虫よけや病気予防のために一緒に植えられるものがあります。

面白いことに、「薬効=植物の防御成分」 であることが多いので、それがそのまま 畑でも虫よけとして働く ことがあるんです。

例えば、黄連という薬草は苦味が強く、この苦味が人間にとっては炎症を鎮める薬になります。でもこの苦味はもともと、黄連が外敵から食べられないための防御成分なんですね。

3-2. 中国の伝統農法とコンパニオンプランツ

興味深いことに、中国の伝統農法では 「薬草を畑の周囲に植える」 という方法が古くからありました。

例えば、ヨモギ(艾草)を畑の端に植えて「虫よけの垣根」にする という知恵は、中国の伝統的な農家で実際に行われていたそうです。

これは現代の「コンパニオンプランツ」とほぼ同じ考え方ですよね。

🍃猫猫が生きていた時代には化学農薬はありませんから、こうした 中薬の知識を活かした栽培 が行われていたはず。薬草に詳しい猫猫なら、きっとこういった農業の知恵も知っていたのではないでしょうか。

3-3. 除虫菊は殺虫剤の原料にもなった

「薬用菊」の仲間で 除虫菊(じょちゅうぎく) という植物があります。

この除虫菊に含まれる ピレトリン という成分は、現代の殺虫剤の原料にもなっています。

古代から「虫よけになる」と知られていた植物が、現代科学で成分分析されて殺虫剤になったというのは、先人の知恵が正しかった証拠 ですね。

菊の花のイラスト


4. まとめ:薬草の奥深さを楽しもう

ミニアニメ「猫猫のひとりごと」第18話【薬草】から学べる知識をまとめます。

4-1. 猫猫の薬草解説から学べる4つのこと

✅ 三千年前の知恵が現代科学で証明された

シソの成分分析(2023年論文)で、部位ごとに含まれる化合物が異なることが判明。中国薬典で葉・茎・種を「別の生薬」として分類しているのは、科学的にも正しかったのです!

✅ 植物の形から効能を見つけた先人の発想力

「牛の膝に似ている」→「膝の痛みに効く」という牛膝のように、自然界の特徴を人体に当てはめて薬を発見。試行錯誤の末、本当に効くものだけが残されました。

✅ 葉・茎・根・種で作用する体の場所が違う

部位 作用する場所
葉・小枝 体表 シソの葉→体の表面に作用する風邪薬
茎・幹 体幹(内部) シソの茎→体の内部への作用
体の深部 腎・血への作用に使われることが多い
便通を良くする

✅ 薬草を畑の虫よけに使う知恵は現代農業にも通じる

ヨモギや除虫菊を畑の周囲に植える中国の伝統農法は、現代の「コンパニオンプランツ」と同じ考え方でした。

4-2. 『薬屋のひとりごと』をもっと楽しむために

今回は、猫猫が解説してくれた【薬草】の豆知識を、東洋医学の視点からやさしく深掘りしてみました。

『薬屋のひとりごと』の魅力の一つは、猫猫の知識がリアルで奥深いところ。

「この薬草は何に効くんだろう?」「この毒はどんな作用があるんだろう?」そんな視点で作品を見ると、猫猫の世界がもっと身近に感じられるかもしれませんね。

こうした豆知識を深めながら「薬屋のひとりごと」の世界を一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです 🙂

他のミニアニメを東洋医学で深ぼりシリーズはこちらから

🍃このブログでは「薬屋のひとりごと」を楽しむための入門ガイドもまとめています🍃(小説・漫画2種類・アニメ・映画の全メディアの違いなど、何からはじめたらいい?の参考にしてくださいね 😀 )

薬屋のひとりごと何から始める?小説・アニメ・漫画入門ガイド

※本記事は医療行為を目的としたものではなく、一般的な知識の紹介です。


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この記事を書いた人

柚子

国際中医師(国際中医専門員)|漢方薬局勤務経験あり

『薬屋のひとりごと』の作品情報のほか、作品中の生薬・漢方をやさしく解説していきたいと思っています。

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